グレインフリーって犬の体に悪いの?
グレインフリーとは、小麦や米など穀物全般を使用していないフードのこと。
「健康そう」とイメージを持つ人も多いのですが、逆に病気の可能性を高めることが報告されています。
しかし、本当に穀物を摂取しないことで病気リスクが高くなるのでしょうか?
その件について、最新の研究が発表されました。
「グレインフリーのフードを使おうか迷っている」という飼い主さんは、ぜひ参考にしてください。
グレインフリーは本当に犬の体に悪いのか?
2018年と2019年、アメリカの食品医薬品局は、「グレインフリーは拡張型心筋症(心臓病)と関連している可能性が高く、その原因は使用されているマメ科植物かもしれない」と発表しました。
しかし、最新の研究では、「グレインフリーと病気を関連づける証拠は乏しい」と報告されています。
2020年、BSM Partners のSydney R McCauleyらは、「グレインフリーのフードと拡張型心筋症には本当に関連があるのか」について調査。〔参考〕
研究チームは、犬の拡張型心筋症の原因に関する150件以上の研究を改めて検証した結果、
- グレインフリーフードおよびマメ科植物と拡張型心筋症の発生に明確な関係は見出せない
- 犬の食事と拡張型心筋症の関連について正しい結論を出すには、さらなる研究が必要である
と報告しました。
また、食品医薬品局の研究報告を認められない理由として、研究者は次の3つをあげています。
- 現在の文献に基づくと、アメリカの犬の個体数全体における拡張型心筋症の発生率は0.5〜1.3%と推定されているが、食品医薬品局が報告した560匹という症例数はこの発生率をはるかに下回っており、病気との関連付けが不可能
- 食品医薬品局の報告では、犬が現在食べているフードについての情報だけで食事の履歴については不明、犬の年齢についても言及されていないなどデータとして不完全なため、適切な結論を出すことは不可能
- 拡張型心筋症は、発症の原因となる因子が数多く証明されている多因子性の病気のため、拡張型心筋症の潜在的な原因を明らかにするには、食事内容だけでなく遺伝的な要素、感染症、代謝などを研究する必要があり、食品医薬品局が報告した時のような小さいサンプル数ではなく、もっと大きな規模で客観的なデータを収集して分析する必要がある
グレインフリーフードの売上増加と拡張型心筋症の発症率に相関はない
さらに、成分研究とは別の研究も報告されています。
2022年、アメリカにあるBSM PartnersのBradley W. Questらは、「グレインフリーフードの売上が増えるにつれて、拡張型心筋症の症例も増えているのか?」について調査。〔参考〕
グレインフリーフードまたは豆類を多く含むフードが犬の拡張型心筋症の原因なら、フードの売上と病気の発症率は比例しているだろうとの理由からです。
グレインフリーフードまたは豆類を多く使用したフードは2010年頃から発売され、売り上げを伸ばして来ました。
売上金額では、2011年の9億ドルから2019年には54億ドルという6倍の成長をしています。
果たして、売り上げに比例して拡張型心筋症の発症率も伸びているのでしょうか?
研究チームは、2011年から2019年までの拡張型心筋症の発症率の推移を分析した結果、拡張型心筋症の発症率は増加も減少もしておらず横ばい状態でした。
つまり、統計データでは、グレインフリーフードまたは豆類を多く使ったフードの売上増加と拡張型心筋症の発症率に相関は無かったということです。
まとめ
今回は、「グレインフリーは本当に犬の体に悪いのか?」についての研究報告を紹介しました。
この記事のまとめ
- グレインフリーと病気を関連づける証拠は乏しい
- グレインフリーフードの売上増加と拡張型心筋症の発症率に相関はない
そもそもグレインフリーは、穀物アレルギーを持つ犬以外にはメリットはほぼありません。
わざわざグレインフリーを選んで買う必要はないでしょう。
正しい知識を持って、愛犬にとって本当に良いごはんを選んでくださいね。
それでは、最後までお読み頂きありがとうございました。