ドッグフードのパッケージに「AAFCO認定」「AAFCO承認」とか書いてあるんだけど、AAFCOってなに?
ドッグフードのパッケージに「AAFCO認定」「AAFCO承認」との記載があると、なんとなく「厳しい検査をクリアした品質の良いフード」という印象を持ちますよね。
実際、AAFCOの基準とはどんなものなのでしょうか?
この記事では、「AAFCOの基準」について解説します。
安心して愛犬にドッグフードを食べさせるためにも、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
目次
AAFCOの基準は?
AAFCO(アーフコまたはアフコ)とは、「Association of American Feed Control Official」 の略称で、日本語では「米国飼料検査官協会」と呼ばれます。
ペットフードの栄養基準や表示に関する基準を公表している米国の団体です。
AAFCOでは、子犬期(成長期)・成犬期(維持期)で必要な栄養素基準を設定しています。(シニア期の基準はなし)
■ AFFCOの栄養基準値(DMB)2016
※フードの想定カロリー4000kcal ME/kg
日本の法律上、ドッグフードは食品ではないため、品質を保証する法律がありません。
品質が低いドッグフードを流通させないための基準のひとつとして、現在AAFCOの基準が世界的に採用されており、日本の多くのメーカーでも採用しています。
とくに総合栄養食は、AAFCOの分析試験による栄養基準をクリアしないと「総合栄養食」と名乗ることはできず、日本で販売されている総合栄養食のほどんどはAAFCOの栄養基準をクリアしています。
しかしAAFCOは、あくまで基準を提示しているだけで、ドッグフードの検査や認定は行っていません。
そもそもAAFCOの基準自体は厳しいものではなく、あくまでも最低限の品質を保証するための基準です。
ドッグフードがAAFCOの基準を満たしていなくても法的な罰則などを受けることはありません。
また、AAFCOはドッグフードに含まれる原材料の基準も定めていますが、他の基準に比べるとそこまで厳しくないと言われています。
言い換えれば、「栄養素の基準を満たすことができれば、粗悪な原材料でもOK」ということになります。
さらに、AAFCOは添加物の上限値の基準がなく、「栄養素の基準を満たすことができれば、添加物をどれだけ使用していても問題ない」というわけです。
そのため、「AAFCOの基準を満たしているから品質が良い」とは言い切れず、高品質なドッグフードを選ぶにはAAFCOの基準を満たしているかということだけではなく、パッケージ表示をしっかり確認する必要があります。
ちなみに、AAFCOの栄養基準を満たした製品であれば、「AAFCOの定める栄養基準値をクリア」などとするのが正しい表記です。
しかし、メーカーによっては次のような表記をすることもあります。
- AAFCO認定
- AAFCO承認
- AAFCO合格
AAFCOは、あくまで基準を提示しているだけであり、検査や認定を行っていないため、このような表記は、「メーカーが独自に表記しているだけ」なので注意しましょう。
AAFCO 公式サイト → The Association of American Feed Control Officials - AAFCO
ドッグフードに関するその他の基準
先述したように「AAFCOをクリアしているから安心!」とは言えないため、AAFCOの基準をクリアしていることを最低条件に、その他の基準も参考に選ぶのがおすすめです。
ドッグフードに関する基準は、AAFCOの他に次のようなものがあります。
- ペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)
- ペットフード公正取引協議会
- FEDIAF(欧州ペットフード工業連合会)
- NRC(米国学術研究会議)
ペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)
ペットフード安全法は、2009年から施行された法律です。
農薬などの有害物質の上限値を定めており、フードの製造・輸入・販売会社に立ち入り検査や罰則を行います。
下記の情報をパッケージに表示する義務を定めています。
- 名称
- 賞味期限
- 原材料名
- 原産国名
- 事業者名および住所
ペットフード安全法 公式サイト → 環境省_パンフレット「ペットフード安全法のあらまし」 [動物の愛護と適切な管理] (env.go.jp)
ペットフード公正取引協議会
ペットフード公正取引協議会は、1974年に設立された団体です。
栄養素の基準はAAFCOに従っており、下記の2つの規約を定めています。
- ペットフードの表示に関する公正競争規約(ペット公正競争規約)
- ペットフード業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約
上記は法律ではないため、遵守しなくても罰則はありません。
ただし、現在ほとんどのペットフードの製造・輸入・販売会社が遵守しています。
また、下記の情報をパッケージに表示する義務も定めています。
- ペットフードの名称
- ペットフードの目的
- 内容量
- 給与方法
- 賞味期限
- 成分
- 原材料名
- 原産国名
- 事業者の氏名又は名称及び住所
ペットフード公正取引協議会 公式サイト → ペットフード公正取引協議会・公正競争規約 (pffta.org)
FEDIAF(欧州ペットフード工業連合会)
FEDIAF(フェディアフ)とは、「European Pet Food Industry Federation」の略称で、日本語では「欧州ペットフード工業連合会」と呼ばれます。
独自の研究を行っている機関で、ヨーロッパ産のフードには「FEDIAFの基準を合格」などという表記が多く見られます。
ドッグフードの栄養基準の制定、ガイドラインの制定、製造工場の認定は行っていますが、ドッグフードの検査や認定は行っていません。
FEDIAF 公式サイト → FEDIAF | The voice of the European pet food industry
NRC(米国学術研究会議)
NRC(エヌアールシー)とは、“National Research Council”の略で、日本語では「米国学術研究会議」と呼びます。
1916年6月に設立された米国化学アカデミーの傘下にある非営利組織団体で、動物の栄養要求量やペットフード飼料の栄養成分を公表している団体。
現在のドッグフードの栄養基準といえばAAFCOが日本含め世界で採用されていますが、AAFCO登場する前にドッグフードの栄養基準として採用されていたのがNRCです。
しかし、85年版のNRCの基準において、犬のタンパク質量が低過ぎたことと算出根拠の曖味さが指摘されました。
それを機に、日本や世界の国の大半がNRC基準の採用を廃止。
日本では、2000年12月にペットフード公正競争規約を改訂する際に、NRCではなくAAFCOの基準を栄養適正表示として採用するようになり、NRCの基準が使われることはなくなりました。
NRC 公式サイト → National Research Council of the National Academies (NRC) | Tethys (pnnl.gov)
まとめ
今回は、AAFCOの基準について解説しました。
ドッグフードは日本の法律上、食品ではないため、様々な基準によって品質が保証されています。
AAFCOの基準は世界的に採用されており、日本の多くのメーカーでもAAFCOの基準を採用しています。
しかし、AAFCOは最低限の品質を保証するための基準であり、ドッグフードとして必ず高品質であるとは言えません。
飼い主さんは正しい知識でドッグフードを選んであげてくださいね。
この記事が読者さまと愛犬の暮らしの一助になれば幸いです。